乳がん治療の入院初日|生後1か月にも満たない娘との最後の授乳

先生から電話をもらってから、わずか4日後。

私は乳がんの治療のため、入院することになりました。

入院期間は2泊3日。

今思い返しても、あまりにも早く時間が進んでいったように感じます。

入院する日の朝、最後の授乳

入院する日の朝。

家を出る前に、母に動画を撮ってもらいながら、娘に最後の授乳をしました。

娘はまだ、生まれて1か月も経っていません。

それなのに、おっぱいをもらえることが分かっているのか、私が近づけると口を大きく開けるようになっていました。

その姿が、とても愛おしかった。

ずっと見ていたいと思いました。

本当は、泣きたかった。

これが最後になると思うと、涙が出そうになりました。

でも、泣くのは我慢しました。

周りにも心配をかけたくなかったし、何より、最後の授乳は娘に笑顔で向き合いたいと思ったからです。

娘にとって、「悲しい授乳」で終わらせたくなかった。

だから、この瞬間をしっかり覚えておこうと思いました。

娘の顔を見て、授乳に集中しました。

動画を途中で止めてもらった

母には授乳しているところを動画に撮ってもらっていました。

でも、途中で「もういいよ」と撮影を止めてもらいました。

そのときは、ただ娘との時間に集中したかったんだと思います。

でも、今になって思います。

最後まで撮ってもらえばよかった。

あのときの私は、この授乳が最後になることを分かっていました。

それでも、まさかその動画を何度も何度も見返すことになるとは思っていませんでした。

母乳育児に憧れていた

私は、母乳育児に憧れていました。

娘が生まれる前から、

「1歳くらいまでは母乳で育てたい」

と心に決めていました。

実際に娘が生まれて、授乳する時間は私にとって幸せな時間でした。

小さな娘が一生懸命おっぱいを飲む姿。

腕の中で安心したように眠る姿。

そんな時間がずっと続くと思っていました。

でも、病気になったことで、その時間は突然終わることになりました。

1歳まで続けようと思っていた母乳育児は、1か月も経たないうちに、あっけなく終わってしまいました。

自分が病気になるなんて思っていなかった。

まして、娘を産んですぐに治療を始めることになるなんて。

妊娠して、無事に娘を産むことができて、

「これからは母親として、この子を育てていくんだ」

と思っていた矢先のことでした。

治療中、何度も見返した娘の姿

入院して治療が始まってから、私は娘の授乳姿を撮った動画や写真を何度も何度も見返しました。

あのとき撮ってもらった動画。

娘が私のおっぱいを飲んでいる姿。

小さな口を大きく開ける姿。

その一つひとつが、恋しくて仕方ありませんでした。

治療がつらいときも、娘の写真や動画を見ると、

「この子のところに帰りたい」

と思いました。

だからこそ、今でも思います。

最後の授乳を、もっと撮っておけばよかった。

病院に出発する前、自宅で最後の授乳をしましたが、

「病院に着いてから、車の中でもう一度あげればよかったな」

とも思います。

あのときは、それが本当に最後になるという現実を、まだ完全には受け止められていなかったのかもしれません。

いよいよ入院へ

最後の授乳を終えて、私は病院へ向かいました。

生まれてまだ1か月にも満たない娘を家に残して。

そして、この日から乳がんの治療が始まりました。

娘を産んで、たった数週間。

本当なら、もっともっと娘との時間を過ごしたかった。

授乳をして、抱っこをして、寝顔を眺めて。

そんな当たり前の毎日が続くと思っていました。

でも、私には治療が必要でした。

泣きたい気持ちを押し込めて、娘に笑顔で「行ってくるね」と伝えたあの日。

今でも、あの朝のことははっきり覚えています。

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